*カルシウム(Ca)
~骨や歯をつくり筋肉や神経の働きを正常に保つ~
体内で最も多いミネラルで、99%が歯や骨に、残りの1%が血液中やリンパ液中の細胞に存在し、生命維持やその活動に重要な役割があります。人間の活動に常に必要なため、骨に蓄えられています。
◎主な働き
・骨や歯の材料となる
・ストレスなどを静め、神経を安定させる
・筋肉の収縮に不可欠
・体内のイオンバランスを正常に維持する
・体内の浸透圧を一定に保つ
・血液凝固因子を活性化する
・神経細胞の電気的興奮をつくり、その情報伝達に必須
・卵子、精子に必須で、その受精に必要不可欠
・細胞のDNAに作用し、その分裂に必須
・造血に作用し、血中濃度を一定に保つ
・心筋の機能を正常に保つ
・抗アレルギー作用
◎カルシウム不足の症状
骨粗鬆症・生理不順・高血圧・動脈硬化・心疾患・認知症上・糖尿病・虫歯・歯周病・筋肉の痙攣や痛み・イライラ・神経過敏・不眠症・動悸・腎機能障害
カルシウムの慢性的な欠乏により、歯の強度や骨量が減少し、骨折や骨粗鬆症の原因になることがあります。骨量が低下することにより、肩こりや腰痛などの症状が出る場合も。
さらに、神経過敏な状態になるため、イライラしたり、キレやすくなるなど、
精神面の状況にも変化が現れることがあります。
*鉄(Fe)
~血液の赤血球を構成するミネラル~
私たちは、身体の中に2~3gの鉄を持っています。
そのうちの70%が血液中のヘモグロビンの一部となり、酸素を全身に運搬しています。
また、10%は筋肉に存在し、血液から酸素を受け取る働きがあります。残りは肝臓、脾臓、骨髄、腸に貯蔵され、ミトコンドリアでのエネルギー産生などに関わっています。
◎主な働き
・血液から酸素を受け取る
・酸素を全身へ運ぶ
・エネルギーを作る働きに関与
◎鉄不足の症状
鉄欠乏性貧血(冷え性、疲労、肩こり、持久力低下)・頭痛・動悸・息切れ・食欲不振・氷食症・注意力低下・イライラ・抑うつ状態
鉄欠乏状態が継続・進行すると、全身の臓器や組織に血液が運ばれにくくなり、身体が酸欠状態になってしまいます。
そのため、倦怠感、めまい、耳鳴り、動悸、息切れなどの症状が出る場合も。
また、まぶたの裏側の粘膜や顔面の蒼白、爪が平坦で薄くなるさじ状爪や、肌荒れ、錠剤などの飲み込みにくさを感じる嚥下障害、氷などの栄養がないものを食べたがる異食症の症状が出る場合もあります。
精神面への影響も大きく、注意力の低下やイライラ感、食欲不振やうつのような症状が出る場合もあります。
*カリウム(K)
~細胞内の水分量を調節し、血圧を安定させる~
カリウムは、成人の体内に120~200g存在しています。
そのうちの2%が細胞外にあり、98%は細胞内に存在しています。
カリウムは、ナトリウムと「ブラザーイオン」と呼ばれるペアで、お互いに作用しあいながら、細胞の浸透圧の維持や水分の保持、酸・塩基平衡の維持(pHバランスを保つ役割)、神経刺激の伝達、心臓機能や筋肉機能の調節、細胞内の酵素反応の調節などをおこなっています。
また、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、ナトリウムの尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる効果があります。
◎主な働き
・細胞の浸透圧の維持
・体液のpHを調整
・血圧上昇の抑制
・筋肉の収縮、弛緩に関与
◎カリウム不足の症状
高血圧・筋力低下・不整脈・脱水・食欲不振・吐き気・歩行困難・意識消失発作・自律神経失調症・多尿、排尿障害・便秘・イレウス(腸閉塞)・心停止
普段の食生活で不足することはほとんどないとされていますが、激しい下痢や嘔吐の後、下剤の乱用、利尿降圧剤の長期使用の場合には欠乏することがあります。
カリウムの低下は、脱水症状や食欲不振、筋力低下、不整脈などの症状が起きる場合があります。
重度になると、麻痺が出現して歩行困難になったり、意識消失発作、自律神経失調症、多尿・排尿障害、便秘、イレウス(腸閉塞)などを引き起こす場合もあります。
*銅(Cu)
~鉄の利用を促進し貧血を予防、成長も助けるミネラル~
銅は成人の体内に約70~100㎎あり、主にたんぱく質と結合してセルロプラスミンという糖蛋白の形で存在しています。約50%が骨や骨格筋に、約10%が肝臓に分布しているほか、脳・血液・胆汁にも存在しています。
全身に運ばれたセルロプラスミンは、約10種類の酵素の活性中心に結合して、生体内で様々な働きをします。特に、鉄がヘモグロビン合成をする際に促進作用をもたらします。
また、銅は免疫細胞のエネルギー代謝に関わる酵素の構成成分や、抗酸化酵素の構成成分でもあり、多くの酵素の原料として、身体の調子を整える役割を担っています。
◎主な働き
・酵素の材料になる
・鉄の利用を促進
・活性酸素の除去
・神経伝達物質の産生
◎銅不足の症状
貧血・成長障害・コレステロール代謝異常・糖代謝異常・メンケス病(先天的な銅代謝異常)骨異常・毛髪異常・白血球減少・好中球減少・心血管系や神経系の異常
普段の食生活で不足することはほとんどないとされていますが、長期間、経腸栄養での栄養管理をされている方や、人工栄養で育った未熟児などでは欠乏症がみられることがあります。欠乏症の主な症状は、貧血、骨異常、毛髪異常、白血球減少、好中球減少、心血管系や神経系の異常、成長障害などです。
*亜鉛(Zn)
~多くの細胞が必要とする新陳代謝に欠かせないミネラル~
亜鉛は成人の身体に、約2g存在しています。細胞分裂に深く関わるミネラルのため、それらが盛んな生殖器や毛髪などに多く含まれています。そのほか、筋肉と骨中に含まれますが、皮膚、肝臓、膵臓などの多くの臓器に存在し、さまざまな酵素の構成要素となっています。
◎主な働き
・細胞分裂
・新陳代謝
・皮膚や髪の毛の健康維持
・性機能の維持
・味覚の維持
◎亜鉛不足の症状
成長障害・味覚異常・生殖機能の低下・脱毛症・皮膚炎・舌痛症・貧血・食欲不振・下痢・免疫機能低下・コレステロール代謝異常
亜鉛が不足すると、味覚障害、皮膚の乾燥、脱毛、性機能低下、性成熟の遅れ、貧血、精神・神経症状、免疫機能の低下、コレステロール代謝異常、成長障害などの症状が現れます。
爪に白い斑点がみられるのも、亜鉛欠乏の兆候の一つです。
*マグネシウム(Mg)
~多くの化学反応を支え生命活動に重要なミネラル~
マグネシウムは、成人の身体に、約25g存在しています。
マグネシウムは、約50~60%が骨や歯にリン酸マグネシウムや、炭酸塩の形で含まれています。残りの約40%は筋肉や脳、神経に存在し、血中には約1%が存在しています。
マグネシウムは、体内の350以上もの酵素を助ける補因子として重要な役割を果たしています。
◎主な働き
・酵素反応えお促進
・筋肉を収縮
・神経を鎮静
・骨格を形成
・体温、血圧の調整
◎マグネシウム不足の症状
骨形成異常・不整脈・虚血性心疾患・高血圧・動脈硬化・筋肉の痙攣・神経過敏・抑うつ感・記憶障害・注意力散漫・骨粗鬆症・糖尿病
普段の食生活で不足することはほとんどないとされていますが、睡眠不足や運動不足が続いている時、ストレスが多い時には体内のマグネシウムが多く消費され、不足となる場合があります。
マグネシウムが不足すると、血圧上昇、不整脈、動脈硬化、狭心症や心筋梗塞などの危険性が高まります。不足状態が悪化すると、発育不全、筋肉の痙攣、皮膚や筋肉などへのカルシウム沈着、神経過敏症などの神経症状、不安や抑うつ症などの精神症状、記憶障害、注意力散漫などの症状が現れます。また、骨粗鬆症や糖尿病などの生活習慣病の危険性も高まります。